ふくやま美術館モニュメント巡り(文化ゾーン)

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【蓮の泉】

ジョージ・藤川 (1910~1997) 1988年ふくやま美術館オープニングセレモニー通水式

楕円形の池に抽象化された蓮の花や葉がモチーフのブロンズ製の噴水彫刻。

当時、福山城の内堀であったこのあたりは、蓮の花が一面に咲いて作者が よく遊んだ場所である。その懐かし思い出を込めた作品。

水が上に吹きあがる普通の噴水と違って、横に広がっている。福山城天守閣の高さをより際立たせるように横の線を強調したデザインになっている。 

*内藤家長屋門は作者の祖母の家

 

【創生】

野田正明 (1949~) 2009年11月除幕式

黒御影石の円柱土台の上に12枚のステンレスの円が交差する作品。高さ3m。 ステンレスに、福山城や庭園が映る。新市町出身、ニューヨーク在住。 *福山駅前に「いまこそ未来」、新市町戸手に「飛翔」く時空を越えて>の モニュメント、まなびの館ローズコム(1階入り口)に「超越境界」の抽象画、 1階から2階へつながる階段に「サプライム」「追跡」のガラス作品、福山市立大学にEvolution「進化」Quest「探求」の装飾合わせガラスの作品がある。

 



【RISPETTO(敬意)】

杭谷一東くえたにかずと・いっとう(1942~) 1986年オープニングセレモニーで紹介

「天に向かってそびえたつこの力強い作品は福山の輝かしい未来を象徴し ているかのように見えます」と紹介。

5つのアフリカ産御影石。5つ合わせて50トン。 鏡のように磨かれた面と自然の荒々しさを残した面で構成。アフリカからイタリアのアトリエへ、そこで制作、船で神戸、トラックで福山へ、設 置時ワイヤーが切れたりした。甲山町(現世羅町)出身、鍔勝三の甥。

イタリア彫刻家ファッツィー二教授の助手として、バチカン宮殿の「キ リストの復活」制作に参加。

*春日池公園に「太陽の滴」の大理石・花崗岩の作品、福山市立大学に「天風(アネモス)」の大理石作品、福山駅北口の東側噴水の「水の城」、霞町の福山市中央公園に「太陽の門」の大理石の作品、新市町新市(中央緑地公園)に「共生」の大理石作品、駅家町倉光(福山市北部市民センター)に「未来への空間」の大理石の作品がある。

 

【愛のアーチ】

高橋秀(1939~) 1988年オープニングセレモニーで紹介

「彫刻と音楽と証明が一体となった見事なモニュメント、時には野外音楽 やパフォーマンスの楽しい広場となってくれるでしょう」と紹介。

高さは6.5m、鉄製で12本の湾曲した赤いアーチが印象的な、ふくやま 美術館のシンボルともいえる作品。内部の足下からは作者の息子作曲の音楽 「愛のアーチ」が流れる。この赤から命が、湾曲したアーチから、リズミカル な躍動がつたわってきませんか?この赤はこれまで3回塗り替えられている。 新市町出身、倉敷芸術科学大学教授 *新市町新市(福山市役所新市支所)に「上昇~天へ」のスチール作品がある。

 



【絆】

矢形 勇(1918~) 1993年設置(高さ1.3m、150kg)

木陰に木漏れ日を受けて立つ、戯れる母と子のプロンズ像。まあるい柔 らかな感じ。親子の絆、愛情は愛の原点である。

尾道市出身、彼の母は72歳で亡くなっていますが、彼自身が72歳に なったとき、優しかった母親が恋しくなり母子像を作ることにした。 母子像の2作目の作品がこの「絆」。10か月かかってできた作品、作品に込められた亡き母への心からのメッセージつながれた手と手が、こちらに届いてきそうです。 *福山市霞町(広銀前)に「春や春」の作品がある。

 

【姉妹】【弟】

圓鍔勝三えんつばかつぞう(1905~2003) 姉妹...1994 年設置 弟1996 年設置

ふくやま美術館へと皆様をお出迎えする作品。ブロンズに金で塗装。 「愛と平和が強く感じられる作品に」とのブロンズ像を寄贈。

 尾道市御調町出身、彼自らこのレリーフ取り付けの作業中、文化勲章内定が知らされた。座右の銘「積み重ね つみかさね 積み重ねた上にも また積み重ね」

*ふくやま美術館ラウンジのブロンズレリーフ「自然のめぐみ」、新市町新市 (福山市役所新市支所)のプロンズレリーフ「花ふぶき」の作品がある。

 



【夢想の道】

鈴木政夫(1916~2002) 1993 除幕式 180mにわたり8体設置

花崗岩の手彫りの彫刻。高架に沿った歩道沿いに、なんとも可愛らしく目立たない風貌の、小さな石の彫刻が並んでいる。

全8体(夢想・花を持つ童女・羅漢・想・愛のシンボル・飛べわらべ・早春 の二人・わらべ)で一つの作品。

愛知県岡崎市の石屋の子として生まれる。35歳を過ぎて彫刻家をめざし上 京、木内克に学ぶ。作者コメント「いつも邪魔にならないもの、目立たないもの、それでいて無いとなんとも淋しくなるようなものを作りたい」と。

 

【陽の誌」

五十嵐庸夫(1959~) 1990年設置

葦陽高校同窓会の依頼作品。以前この場所に葦陽高校があった。7回校名を変 えたことにちなんで7個の石で構成されている。花崗岩に木の楔. 金属など金具 は一切使っていない。

兵庫県出身、学生時代から笠岡の北木島で御影石となじんでいた。大きな山を崩して、地中深く掘って切り出す石切り場の石、それを使って作品を作っている。

 



【走り雨】

三澤憲司(1945~) 

日本庭園の技法で福山城を借景として、6個の御影石で雲、68個のステ ンレスで“雨”を表現。真夏に急に降り出すタ立ちをイメージした作品。

横いっぱいに広がる雲、その中から降り注ぐ大粒の雨。雲の上には福山城の 壮大さをより引き立てている。福山城はまるで天空にそびえているようです。 1945年、長野県生まれ。 *福山市緑町(ローズアリーナ)に「天の恵み」の作品がある。

 

【春の一隅】

松岡高則(1932~)

女性が背中合わせに座っている裸像。一人は片膝を立て、もう一人は片足を 膝の上に置いている。柔かい表情で春の訪れを喜んでいる様子が漂ってくるよ う。作者のコメント 「現代女性の苦しみと若い期待とを重ねて表現するのに苦労 した」と。62歳のときの制作。 福山市松永町生まれ(松永町在住).。今城国忠に師事。 *福山市神辺文化会館正面の「夕日」、福山市松永はきもの資料館の「遊遊」 西部市民センターの4作品(春の日ざし・聞こえるよ....夢を奏でる・薫風) 松永駅南口ロータリーの「新生」「浜子像」、福山市役所の「双樹の詩」、福 山市民病院の「雑草の詩」、入船交流広場のリーデンローズに渡る陸橋左手 の「聞こえるよ」の作品がある。

 



【ふたり】

今城国忠(1916~2000)1992年除幕式 

1963年(作者47歳)初めての日展に特選で受賞したときの作品をプロンズ化、二人の友情の深さを表現している。除幕式の作者のコメント「彫刻は光と影の芸術。野外では時間がたつにつれ、光の当たり具合がかわり、味わいも出てくる。難しく考えずに無心で見てもらえれば、作品の意図もわかってもらえるの ではないか」、「二人の女性を表現するのに苦労した。多くの人の目に留まる野外に置いてもらい、作者としてこんなにうれしいことはない」とも、府中市生まれ。

*霞町の福山市中央公園に「追憶(母子三人像)」(56歳の作品)の作品がある。

 

【仏法僧】

圓鍔勝三 (1905~2003) 1991 年設置

ブロンズに塗装、コノハズクは金。女性は黒に着色。肩にとまった鳥の話に女性が耳を傾けて聞いている様子。この鳥は作品名の仏法僧ではなくて、コノハズクという鳥。鳴き声はブッポウソウと鳴くようです。日本では古くから高野山の霊鳥とされ、ギリシャ神話では智恵の神、アテナの化身です。 作者も愛嬌のあるこの鳥が好きで、コレクションや作品に数多く登場している。

 



【のどか】

陶山定人(1926~2009) 1995年除幕式 

風をほほに受けて、とても気持ちよさそうです。タイトルは「のどか」です。 また、現代に生きる女性の新しい希望を予感させるような、そんな感じもします。

除幕式の作者のコメント「見る人にゆとりを感じてもらえれば」、「若き日の思 い出の作品でもあるのです」とも。

福山市新市町出身、16歳で澤田政廣に師事。 *ニューキャッスルホテルロビーに「まどか」、駅家町万能倉の駅家公園に「愛と光」、福山市神辺文化会館に「大地への賛歌」福山市新市支所に「日々新(ひびあらた)」の作品がある。

 

【水浴の女】

エミリオ・グレコ(1913~1995) 1993 年設置(開館5周年記念)

とても若々しい裸像。でも官能的ではない。のびやかで優雅。グレコの代表作の一つ。 プロンズ。唯一の外国人作品。2m80cm。 唯一、福山市がお金を出して購入した作品(7000万円)。

 イタリア生まれ、13歳で、大理石職人のもとで、石工の徒弟となる。 墓碑の制作、古代彫刻の模刻をして腕を上げる。20歳頃から展覧会出品。

 



【双立】

清水九兵衛(1922~2006) 2007年設置 

羽を広げた火の鳥のようなこの作品は、アルミニュウムと鉄でできている。

上部は厚さ15ミリの鋳造アルミニュウム。赤い色は京都レッドと呼ばれて いる平安京のシンボルカラー。サンドペーパーをかけて、アルミの地肌がまだらに出てきたら透明の塗料を塗る。下の部分は鉄。高さ29m横10.5m奥 行42m 重さ8t. 名古屋市出身、京焼の窯元 6代目清水六兵衛の養子。

 

【うららか】

圓鍔元規(1937~) 1988年設置

兄弟をモチーフにした、明るいイメージの作品。優しそうな姉、元気そうな 弟、とてもほのぼのとしている。

圓鍔勝三の長男、神奈川県在住、芸大彫刻科卒。 父のヒューマンな詩情とロマンに満ちた作風に対し、オーソドックスでリアルな作風がモットーである。

 



【興】

多田美波(1924~2014) 1991年設置 

ステンレスを鏡のように磨きあげてある。空の色 周りの景色をうつしこん で、雨の日、晴れの日それぞれに異なった趣がある。 

野外彫刻の中で、唯一の女性作家の作品。 ステンレス、アルミ合金、アクリ ルなどを題材とした立体造形で、日本を代表する環境彫刻家. この作品は、刀を磨く油で磨く。 女子美大卒。